家づくりにおける あなたのこだわりってなんですか？
今回は 以前 担当させて頂いたお客様 Kさんのお話をしたいと思います。
Kさんは大手自動車メーカーの元エンジニアで 70代半ば… 会社を定年退職され 奥様とお二人での生活。
奥様の長年の夢であった新しい家に建て替えたい！
モデルハウスに御来店された際に たまたま対応をさせて頂いた 私に依頼がありました。
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自宅で過ごす時間が多い Kさんでしたので、私は新しい間取りや解体工事の話など ほぼKさん宅に出向き打合せを重ねてきました。
でも話合いのお相手は いつも奥様ばかり… だいたい Kさんは外の畑にいて打合せには参加されません。
私は帰りに 畑に行き 決まった内容をKさんに確認・報告をするって感じです…
『新しい自宅の話なんで 話合いに 加わってくださいよ…』
『いいんだよ俺は… 家欲しいのは家内だからさ～ それより 畑のものあげるけど欲しいのあるか？』
『それじゃ 私 オクラが好きなんでよろしいですか… 』
それからはずっと帰りにオクラを頂くのが習慣のようになっておりました。
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御契約も無事に済み 仕様内容も決まり いよいよ着手も近くなったある日…
突然 Kさんから呼び出しの連絡～
今まで奥様任せだったKさんが 急に打合せをしたい… 心配になり自宅に伺うと なんと 祭壇 を設計して欲しい との？な要望～
Kさん宅は神道なんで仏壇ではなく祭壇がありました。新築を機に新しいものにしたいのだが 既製品は気に入ったものが無いのでオーダー作って欲しいという難題、、、
私は住宅屋なんで 祭壇なんて作ったこと無い (*_*) けど Kさんの あまりの熱意に負け CADにて祭壇の図面を作成し 棟梁と家具屋さんを交えて打合せを重ね… なんとか 期待に応えられるものを完成させた！
家も無事完成！ こだわりの祭壇を納め 満面の笑みのKさんを見て 私としても ずっと家づくりに携わてきたけど また違った趣での貢献が出来た自分自身が 少し誇らしげに思えた時 でした。
それから約 8ヶ月…
監督からの連絡 『以前引き渡した Kさん 亡くなったみたいだよ』
えっ、、、 ちょっと前に新築したばかりじゃん～
急遽 あわてて Kさん宅に伺った… 私の作った祭壇には Kさんの写真が…
奥様から 家の計画をしてる時は癌で 既に余命宣告受けてたんだよ と教えてもらった。
本当は一人取り残されるのわかってたから 新しい家は乗り気でなかったけど Kさんが 奥様の長年の夢はどうしても叶えたいとの決意であなたにお願いしたと聞かされた…
こだわりの祭壇は Kさんが 旅立った後の自分の居場所だから 唯一の我がままだったそう。
私は Kさんの人生を賭けた 最後の大仕事に本当に貢献できたのであろうか…
どんな気持ちで新築が出来る工程を見守っておられたのだろうか…
奥様に 短い期間だったけど 主人と一緒に新しい住まいで過ごすことが出来て幸せだったよ 本当にありがとう.. そう言って頂き 堪えていた涙が溢れました。
あれから もう11年 …
スーパーでオクラを見つけると 優しかった Kさん の笑顔をいつも想い出す。
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